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16年間の経験から学ぶ!メディカルトレーナーの仕事内容と本質

16年間の経験から学ぶ!メディカルトレーナーの仕事内容と本質

概要

神奈川県の少年ラグビー選手たちをサポートするメディカルトレーナーとして、1998年の「かながわ・ゆめ国体」から2014年の「長崎がんばらんば国体」までの16年間、選手の健康とコンディション管理を担当しました。これは、横浜南共済病院の元院長・蜂谷将史先生からの依頼をきっかけに始まったものです。

国体で選手にテーピングする勝俣院長
国体で選手にマッサージする勝俣院長

この経験を通じて学んだことが、今後トレーナーを目指す方や、現在トレーナーとして活躍する方のお役に立てればと思い、振り返りをまとめました。

神奈川県の少年ラグビーとは?

神奈川県の少年ラグビーチームは、桐蔭学園、東海大相模、慶應義塾、日大藤沢など、全国でも上位を狙える高校の混成チームです。

ラグビーの試合中の様子

ラグビーは15名が出場するスポーツです。
リザーブを含め選手22名
教員5名
私共メディカルトレーナー2名

の29名の大所帯のチームになります。

国体に参加するためには、試合が進むにつれ約1週間の帯同が求められ、メディカルトレーナーとしても密なサポートが必要になります。

メディカルトレーナーの役割と業務内容

トレーナーの業務は多岐に亘り、帯同後の帰宅時にはクタクタになり1日は寝込むほど疲れが溜まります。

先に教員から選手の現在のケガの情報を集めます。
これは選手の状態を事前に把握し、必要に応じて適切なケアやアプローチを準備するためです。

その情報をもとに、宿泊先では朝の散歩から選手たちの様子を細かく観察します。

脚を引きずっている選手はいないか、

朝食の席では食欲が落ちている選手がいないか、

一人ひとりに目を配り、異変がないか注意深く確認します。

会場に着いて、決められたら時間内にリザーブを含め希望する選手にテーピングをします。選手によっては何度もテーピングを貼り替える事は多々あります。
特に怪我を抱える選手のケアには、注意深い観察と対応が求められます。

トレーナーとして重要なこと

トレーナーと言う立場が上手く仕事を進める上で重要な事は、選手との信頼関係です。

選手が身体の状態を安心して話せる相手でなければ、十分なケアは難しく、教員からも大切な情報が入りません。この信頼関係の構築が一番苦労した部分でもあります。

信頼関係を築くには、単にケアを行うだけでなく、普段から選手一人ひとりに丁寧に接し、親しみやすい雰囲気を作ることが大切です。前年度から知っている選手もいますが、大体の選手が始めての選手なので、朝の散歩や食事の時間を利用して、「調子はどう?」などといった声かけを欠かさず行い、選手が気軽に話せる空気を作るように努めました。

試合中のメディカルトレーナーの対応

試合が始まると、メディカルトレーナーはメディカルビブスを着用し、選手の状態を常に見守ります。選手が倒れた際には、即座にグラウンドに入り、怪我の状況を確認して処置を施します。ラグビーでは相手チームが負傷した際にも依頼があれば対応することがあり、このスポーツの懐の深さを感じます。

ラグビーは激しい接触を伴うスポーツであり、迅速かつ冷静な判断力が求められます。

この場で処置が可能な場合は対応し、選手の意志や監督の指示を考慮しながら試合続行の可否を判断します。

グラウンドで選手に施術をする勝俣院長
グラウンドで選手に施術をする勝俣院長

軽い骨折位なら、そのまま続行する意志の選手が多かったです。
肩の脱臼は度々起こり、何度もグラウンド内で整復をしたものです。

治療室でなく、周囲の目も一点に集まる為、最初はえらく動揺し焦った自分を覚えています。こうした現場での緊張感と責任感の中で、選手の安全を最優先にしながらも彼らの気持ちを尊重し、冷静な判断力を磨いてきたことが、トレーナーとしての私の大きな経験となりました。

選手のケアとメディカルトレーナーの負担

試合が終わり宿泊先に戻った後も、トレーナーの役割は続きます。
試合後は、宿泊先に戻り、夕食までの間が最も忙しい時間帯です。
負傷した選手たちがケアのために私の部屋に次々と訪れ、治療やマッサージを施します。

トレーナーとの名称は広義の意味で曖昧な立場です。

ストレングストレーナー:トレーニングを担当。
マッサージトレーナー:試合前、試合後に選手のケアを担当。
メディカルトレーナー:選手の負傷を始め身体のトラブルを担当。

国体のメディカルトレーナーは県の予算に左右され、常時2名のトレーナーが帯同出来るとも限らず、1名の場合も有りました。

この様な状況では、メディカルトレーナーと、マッサートレーナーを一人で二役やりこなします。

夜には20人ほどの選手をケアするのですが、選手たちは若いながらも体格がしっかりしており、筋肉の塊のような体を支えるには相当な力が必要な為、紅葉のように真っ赤に手が腫れることもあります。

宿泊先の部屋で選手に施術をする勝俣院長

トレーナーの仕事は肉体的に大きな負担がかかります。しかし、選手たちと目標を共有し、共に優勝を目指す中で、不思議と力が湧いてくるのを感じます。

夕食後には、毎晩県への報告書を作成し、翌朝には提出します。その内容には、選手の健康状態やケアの詳細を記録し、関係者と情報を共有して次の日に備えます。
就寝時間はおおむね夜11時ごろになります。

メディカルトレーナーとしての心構え

メディカルトレーナーとして大事な心構えが2つあります。

先ずは、レギュラーとリザーブで区別しない事。

例えば、試合前の限られた時間内でテーピングを巻く際は、その日のレギュラーメンバーを優先して行いますが、それ以外は区別しない様にします。

この「区別しない姿勢」は、選手全員がチームの一員として大切にされていると感じられるようにするためです。特に、リザーブの選手は試合の場面で注目される機会が少ない分、普段のケアやコミュニケーションの中で、モチベーションが維持できるよう意識して接しています。全員に平等なサポートを提供することで、選手が自信を持って試合に臨み、チーム全体の結束力も高まります。

次に、トレーナーの役割を守ることも非常に重要です。
特に、選手の評価やラグビーの戦略に口を出さないことが求められます。

これを破ると、監督との衝突を招く可能性があります。

トレーナーはあくまで選手をサポートする立場であり、選手が心身ともにベストな状態で試合に臨めるよう尽力するのが役割です。そのため、競技内容や戦術については一切口を挟まず、選手が安心して相談できる「寮母」のような存在として信頼されることが大切です。一番の相談役となることで、選手との信頼関係が築かれます。

まとめ

約16年間にわたって選手たちをサポートしてきましたが、振り返ると、私自身も選手たちと共に成長させてもらえたと感じています。思いやりの心がなければ続けられなかったのではないかと思います。技術の習得は、もちろん重要ですが、選手やスタッフへの思いやりがあってこそ、長い時間をかけて支え合う関係を築くことができました。

国体の集合写真

これから、若い世代の柔整師やスポーツトレーナーを目指す方には、技術だけでなく、コミュニケーション力や相手を思いやる気持ちを大切にし、まずは選手やスタッフとの信頼関係の構築に力を注いでほしいと思います。