かつまたかわらばんNo.213「七草粥」
森 航太
明けましておめでとうございます。
今回は『七草粥』というものについてお話しようと思います。
ですが、その前に七草粥を食べる「人日」についてお話します。
人日とは、五節句(人日、上巳、端午、七夕、重陽)の一番目の節句で、陰暦一月七日のことをいいます。お正月最後のこの日は、七草粥を食べて一年の豊作と無病息災を願います。
では、七草粥とはいったいどういったものなのでしょうか。
日本には古くから年の初めに雪の間から芽を出した若菜を摘む、若菜摘みという風習がありました。
また、若菜摘みとは関係なく平安時代には、中国の年中行事である「人日(人を殺さない日)」に作られる七種菜羹(ななしゅさいのかん)の影響を受けて、七種類の穀物で使った塩味の利いた七種粥が食べられようになりました。
後に、七種粥は若菜摘みと結びつき七種類の若菜を入れた七草粥になったと考えられます。江戸時代には幕府が公式行事として「人日」を祝日にしたことで、七草粥を食べる風習が一般の人々にも定着していきました。
旬な植物である七草を粥にして食べれば、自然界から新たな生命力をもらえ、無病息災で長生きができるとされていました。
かつては、前日に野山で菜を摘み、年棚(歳神を祭った棚)の前で七草囃子(ななくさばやし)を唄いながらすりこぎでたたいたそうです。
こうすることで、七草の力をさらに引き出すことができると考えられました。
丁寧に細かく刻まれた七草粥は、正月のご馳走に疲れた胃腸をいたわり、ビタミンを補う効果もあります。
皆さんも七草粥を食べて、今年一年お体に気を付けてお過ごしください。